アセルカデ
2021年に始まった石田多朗とオオルタイチによるどんぶらこ
初の音源をアナログレコード特装盤として発表します。
一点一点予約を頂いてからの受注生産制により、本日から購入受付を開始いたします。
ご注文、予約詳細は最下段をご覧ください。
どんぶらこ『けもの』全曲試聴
これまでの どんぶらこ
これまでの どんぶらこ
雅楽グループ伶楽舎や個人でも活躍されている雅楽奏者 中村仁美(篳篥)・中村かほる(楽琵琶)・中村華子(笙)・伊崎善之(龍笛)の4名とともに、
雅楽の古典のみならず、新曲の作曲や演奏を各所で行ってきました。
各々の楽器の名手である方たちとご一緒させていただけていることはこの上もない幸運だと思っています。
アナログレコード特装盤の制作について
1.京都 沢ノ池 での野外レコーディング
2021年11月、京都は沢の池にて野外レコーディングを行いました。
雅楽は行事や式典等において屋外で演奏されことがありますが、
雅楽の大きな魅力の一つといえる自然との親和性に着目し、今回はあえてスタジオ録音ではなく、
屋外でのレコーディングを選択しました。
沢の池は、今回エンジニアを担当してくれた東岳志くんが教えてくれた場所ですが、
池の水面に反響した音が天上に溶けてゆくように響き、
奥手の山からは山彦も跳ね返る非常に面白い音響空間でした。
録音は全て一発録り。
通常であれば個々の楽器を個別に録音し音量の調整や音響効果を施していく
ミックスという作業がありますが、今回はできるだけ現場の気配を残したいという意図から、
録音の段階で各楽器の音量や響きを考慮しつつ奏者とマイクの距離を取っていきました。
演奏が始まるとともに合いの手を打つように風が巻き起こったり、
日中から夕刻への日の移り変わりなど、多様な要素が演奏に影響し、
その日しか起こりえない一期一会の音楽が吹き込まれました。
当日のレコーディングの様子を360°撮影したものが下にある映像です。
2.那須塩原・木の俣渓谷での奉納演奏
『けもの 立ち来る』
栃木県那須塩原市板室にある木の俣渓谷。
美しい清流で知られるこの茗渓にて、
アルバムの完成を記し、奉納演奏をしてきました。
オオルタイチは琴、石田多朗はドラを演奏し、
本アルバムのジャケットを作成した益子悠紀は描画をしています。
当日の様子を撮影し、
「けもの 立ち来る」と題し、
伊崎善之による「安摩乱声」の演奏をそこに重ねて、
映像作品にしました。
3.烏山和紙を使った、一点づつ手作りのジャケット制作
制作過程
奈良時代に起源をもつ那須烏山の伝統工芸品である烏山和紙をふんだんに使い、レコードを収めるジャケットを制作しました。
和紙は、山があり、水の清いところに生まれるそうです。
樹皮や枯葉をおりまぜ、自然のそのままの色や風合いを残した手漉き和紙は、
長い歳月を超えるほどに風合いを湛えてゆき、耐久性にも優れています。
どんぶらこが挑む、時代を超越してゆく雅楽のレコードを収めるのにぴったりの素材です。
どのようなデザインにするのがよいかと、紙にたくさん触れながら、みえてきたものを大切にしました。
和紙を折ったり翻したり、ナイフで切ったりするときの音、匂い。 紙と紙を重ねると、透けて現れる朧げな光。
糊の水気を吸い込んで、すこし重くしだれた紙のかたちがみせる色気。
素材からのたくさんのリアクションが、デザインの大きな導きとなりました。
制作過程そのものも、作品の一部であると考えています。
パーツひとつひとつを切り揃え、紙目の整うように並べ、糊を縦横に塗り込み、
紙を貼り、折り込み、素材の端を隠す、などの作業は、まるでなにかの儀式のように、
この作品だけのための独自の「つくりかた(型)」のうえに行います。
天地に向かって伸びる植物のエネルギーや、生きもののなかに巡る気の流れと向き合うように、 もとからそこにある素材の力が、できるだけ適切に巡りますように、
という祈りに似た心持ちでつくりました。
表紙の絵について
"けもの" の骨格をあらわした絵。
これは同時に、人間の姿でもあります。
人間が元来、動物であるがゆえに、
なにかに堪えきれなくなり走り出す直前の、静かな決意の姿です。
楽曲"けもの"が呼び覚ました、人間のけものたる姿が、
次世代にむかうこの混沌とした時代に、希望を与えてくれるような気がします。
雪のような、花びらのような、天から舞いおちてくる玉模様がそれをやさしく応援しています。
ジャケットの頂点には、柔らかく光を透かすゴビ瑪瑙を配しました。
天然石のため、ひとつひとつの色や形が異なります。石との出会いも、ぜひお楽しみください。
今回の”けもの”LPは全て、ひとつずつ手作業で行い、絵や文字も原画であるため一点ものとなっています。
エディションナンバーを入れてお届けします。
"けもの" LP
サイズ:310mm×310mm
素材:和紙、天然石、墨汁、胡粉、インク、麻紐
4.ダイレクトカッティングについて
通常のレコードやCDの製作過程は同じ商品を大量に生産することを前提とした在り方ですが、
生産された商品はお店やレコード会社に大量の余剰品として残ることもあり、
いずれ破棄しなければならないプラスチックのゴミと化してしまう状況は
作り手にとっても複雑な気持ちにさせられるものがありました。
また昨今音楽を聴く形態はインターネットを介したデータが主流になってきていますが、
やはりレコードになった時の”実体”のある音は他には代え難いものがあると感じます。
自分たちが納得いく方法で製作した物を無駄なく確実に届けれるような形を取ってみました。
『けもの』のダイレクトカッティングの様子を撮影してきました。
このような過程を経て『けもの』特装盤は完成しました。
一枚一枚、手間が非常にかかりますため、枚数限定となってしまいます。
近日中にspotfyでもストリーミング配信を開始する予定です。